日本の鹿皮輸入量は、皮革全体の国内生産量が減少している中で、平成8年の2倍程度に増加しています。鹿皮革の多くが、中国、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ産の鹿皮をなめし・加工したもので、国内日本鹿の皮は埋却して廃棄されます。一方で野生日本鹿による農林業食害などで、をおびやかす、増殖が問題になっています。多くの野生鹿が駆除されていく中、駆除された野生鹿も畜産資源と考え、有効に利用しようといった動きもでてきています。
皮革製造、加工関係の事業の皆さまからは、国産の安全な鹿皮の需要が叫ばれています。
日本鹿皮革開発協議会は、このような状況の下で、日本鹿の皮革特性を調べ、養鹿による鹿皮と駆除の野生鹿皮、輸入鹿皮に相当する国産皮革資源として利用する産業の創造を計画しています。
日本鹿皮革開発協議会について
日本鹿を鹿皮革製品に関連した事業体が「日本鹿皮革開発協議会」の構成メンバーになって、全日本鹿協会がコーディネーターとなり、専門委員会その指導のもとに、本事業を推進しています。
専門委員会
区分 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
委員長 | 杉田正見 | NPO法人日本皮革技術協会理事長 |
委員 | 石井泰博 | 東京農工大学名誉教授 |
委員 | 奥村 章 | 大阪府立産業技術総合研究所皮革試験所 |
事務局 | 坂本敏正 | 元 農林中金営業部長 |
事務局 | 鈴木功 | 元 日本大学教授 |
全日本鹿協会について(平成2年度発足)
全日本鹿協会は、鹿の繁殖・飼育技術や、食肉、皮、幼角などの産物利用を図る目的で20年前に発足しました。鹿の管理や産物の流通・商品化について、関連する行政、団体、試験機関などと連携して調査研究や畜産技術普及の活動をしています。
全日本鹿協会の利用開発と共存の足跡
西暦年 | 主な出来事 | 事業実績 |
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1990 | 中国養鹿技術団来日 | 全日本養鹿協会発足 |
1991 | 鹿幼角効能調査研究 | 鹿が特用家畜に、NHKメンバー鹿牧場探訪 |
1992 | 鹿幼角商品開発(九州) | 鹿肉試食会(熊本)技術研修会 |
1993 | 加工鹿肉開発 | 人と鹿と共存全国大会①(北海道) |
1994 | 鹿産物利用研修会 | 人と鹿と共存全国大会②(宮崎) |
1995 | 中国養鹿技術者招聘 | 人と鹿と共存全国大会③(栃木) |
1996 | 鹿肉料理、鹿酒②熊本ホテル | 人と鹿と共存全国大会④(長崎) |
1997 | 料理専門学校で料理講習 | 人と鹿と共存全国大会⑤(岩手) |
1999 | 日中養鹿、鹿産物技術交流 | 鹿産物利用ハンドブック発行 |
2004 | 野性鹿の生体捕獲調査 | 養鹿マニュアル発行 |
2005 | 鹿短期肥育 | 鹿産物ゼミナー開催 |
2006 | 鹿産物普及推進 | 養鹿安定経営モデル指針発行 |
2010 | 鹿皮革製品開発 | カルタンセーム革JES認定品に |
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事業計画と推進内容
- 1)原皮集荷となめし仕上げ皮革製造の発注
- 養鹿や適正に捕獲した野生日本鹿を刃傷、穴等の無い原皮に仕上げる技術研修と集荷・発送、エコ素材の生産
- 2)推進体制の整備
- 住民主役、地域自治体参画による実施組織を作り、未利用資源による地域特産品作り
- 3)仕上げ革の技術調査
- 革種類:銀付革、セーム革、スエード、の性能と安全性調査の実施
基本物性:引張強さ、引裂強さ、見掛密度、組織繊維構造、熱収縮温度
機能性能:耐摩擦傷性、脂取り性、人工皮革およびガラス板に対する摩擦係数、安全性調査:動物実験による鹿革接触による皮膚刺激反応試験
日本エコレザー基準(JES)によりセーム革の安全性調査 - 4)専門者、学院、タンナーなどとの連携推進
- 野生鹿皮革利用による高付加価値品創出と地産地消を目指して、皮革専門団、専門学院、タンナー等と連携しての実践活動の開始
- 5)皮革知識と製品技術の研修と普及・啓蒙活動
- 日本鹿皮革の特性、製品と日本鹿皮革文化、文化生活用品としての日本鹿革製品についての啓蒙活動、及び地域住民創作製品の展示会開催
- 6)参加者の呼び掛け
- 鹿皮産地の広域参加者募りと地産地消、地場産業の育成支援