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活動報告

「森とシカと人の共存による地域おこしを考えるつどい2018」開催のご報告

2018年12月12日

 去る10月18日(木)、東京都千代田区・学士会館にて、「森とシカと人の共存による地域おこしを考えるつどい2018」を開催いたしました。
 第1部は、シカの飼育と資源利用をめぐって40年あまり頑張ってこられたお二人のご講演。一つは京都大学名誉教授・宮﨑昭先生による講演「日本人はシカとどう共存し、資源利用してきたのか」、もう一つは、日本鹿皮革開発協議会会長・丹治藤治氏による講演「持続的な資源利用に向けて、今必要なこと―養鹿の経験と技術に学ぶ」でした。
 日本人とシカとの付き合いの歴史や養鹿の歴史を振り返りつつ、害獣として、その尊い命を粗末に扱われ、捕獲されたシカの1割ほどしか利用されていない現状に厳しい警告をならすとともに、シカを貴重な地域資源として大切に扱い、まるごと利用に向けて真剣に取り組んでいくこと、また良質な肉や皮などの継続的・安定的な供給のために、シカの飼育も考えていくべきことを訴えました。
 第2部として「シカの資源利用に求められること―共存と持続可能性・地域おこし・海外交流」をテーマにパネルディスカッション。
 パネラーは、宮内庁御用達の革靴職人で今回のつどいに向けてニホンジカの革を使ったスリッパをご制作いただいた高橋直道氏、日本の樹木ヒノキと日本の鹿革を組み合わせたスツールを制作した家具デザイナーの坂本茂氏、農業高校の先生で、生徒自らが害獣とされるシカの資源利用のあり方について考察を深め、学んだ成果を学園祭で発表する活動を熱く指導してきた宇都宮白楊高校教諭の阿久津昌世さん、そして、地域おこし協力隊として町のシカ肉処理場の運営を任され、シカの解体を行うとともに、その皮をなめして鹿革製品の制作を手掛ける北海道池田町役場職員の長谷井耕平氏の4人。さまざまな分野で活躍され、年代的にも多彩なパネラーの皆さんから、現場での貴重な体験談をご報告いただき、そのあとで農林水産省農村振興局鳥獣対策・農村環境課鳥獣対策室課長補佐の安松恵一郎氏と元・林野庁長官の伴次雄氏から、農水省の支援策に関する話や林業サイドからの貴重なアドバイスをいただきました。
 パネラーやアドバイザーの皆さんからのお話を通じて、シカの資源利用を産業として立ち上げていくにあたっては、原材料が安定的に供給される必要があり、捕獲したものの利用だけでなく、並行して将来的に飼育にも取り組む必要があること、また肉だけでなく皮の利用を含めて考え、資源利用に向けて哲学や愛情を持った対処が大切であることなどが、明らかになりました。

【後援】(順不同)
農林水産省、全国森林組合連合会、公益社団法人畜産技術協会、公益社団法人中央畜産会、一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構、一般社団法人農山漁村文化協会、日本農業新聞

【協賛】(順不同)
一般財団法人日本森林林業振興会、全国森林組合連合会、大同商事株式会社、木下良智、 杉山恵子、丹治 剛、南波利昭、萩原新一













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