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活動報告

日本養鹿協会創立28周年・シカ関連書籍三点出版を記念した交流大会の開催について

2018年5月10日

日本鹿皮革開発協議会
会長 丹治藤治


◆先人たちの大志や遺産を引き継ぐシカ関書籍3点セットを発行
  2018(平成28)年は、全日本養鹿協会創立28周年(*)にあたります。同会を軸に、養鹿やシカ資源利用を通じて地域の活性化に尽力してきた先人たちの大志や遺産を次世代に伝えていくことが求められています。その一つの取り組みとして、ここ3年余りで以下のシカ関書籍3点セットを発行してまいりました(全国の書店で発売)。これを契機に、その遺産を検証し、シカの文化を守り、シカとの共存による資源利用や地域おこしをすすめ、国内外の技術交流の輪づくりを広げる活動をさらに押しすすめてまいる所存です。
  *関係団体の(一社)エゾシカ協会は本年5月20日に創立20周年記念大会を開催します。

良質な肉・皮革・角を得る シカの飼い方・活かし方(農文協、2016年)
Q&A はじめよう!シカの資源利用(農文協、2018年)
時流を刻む 唐の道・鹿の道が開く地域興し(文芸社、2018年)

   


  なお、NHK関係のお三方―NHK会長室の溝渕智憲氏(1990年)、NHK営業サービス㈱社長の柴田正臣氏(1991年)、NHK出版プロデューサーの諸岡茂實氏(2016年)―との出会いのおかげで、1滴の水が大河となるがごとくに、縁が新たな縁を生んで広がり、2018年発行の2冊の書籍出版につながったともいえます。まさに「井戸を掘った人を忘れてはならない」という格言が胸に響きます。

◆養鹿開始の大きなきっかけとなった日中国交回復
  ここで「温故知新」の格言に倣って、日本における養鹿開始の大きなきっかけともなった日中国交回復が行われた年、今から46年前となる1972(昭和47)年の時代背景を、当時のいくつかの政治・社会もトピックからみてみます。

日中国交回復の記念としてパンダが来日、上野動物園で一般公開される
梅山猪と梅花鹿が日中交流の商工使者として福島県と山形県に寄贈される
高度経済成長が終了、国土開発対策として田中内閣が日本列島改造論を提唱
連合赤軍派内での抗争事件が発生、浅間山荘で警官隊と対決する
奈良県の高松塚古墳で内部から壁画が発見され、古代史ブームが起こる
福島県東和町木幡地区で「木幡雑草会」結成、特産品宅配など村興しが始まる

  昨年6月に上野動物園でパンダが誕生し、人気を呼んでいます。パンダは800万年の歴史を持ち「生きた化石」といわれますが、早くも奈良時代の685年には、唐の則天武后から日本に寄贈され、飼育されていたことは知る人ぞ知るエピソードです。その後、時代は過ぎて1972(昭和47)年には日中国交回復を記念して再びパンダが日本に寄贈され、東京の上野動物園(当時園長は中川志郎氏)で公開されました。同年1月には、日本の典型的な中山間地域の一つである福島県東和町木幡地区において、ふるさと興し団体の先駆け「木幡雑草会」が創設され、地元特産品の宅配(今でいうならば「ふるさと宅急便」)など、活動を開始しました。同年3月には奈良の高松塚古墳の内部壁画が発掘され、考古学史上、戦後最大の発見とされ、国民の間に古代史ブームを引き起こしました。

◆今秋、過去の遺産を検証し、交流し合う大会を開催
  こうした過去の歴史も踏まえながら、シカの養育と資源利用に関する三部作ともいえる書籍3点の出版を記念し、広く過去の遺産を検証・公開し、交流し合うための大会を、公益社団法人畜産技術協会と連携しながら開催したいと考えております。現在、開催時期を本年8月から11月頃の時期と考え、開催地にふさわしい地域を探しています。
  また、大会の講演テーマとしては、たとえば、パンダから梅山豚、そして梅花鹿、麝香(ジャコウ)鹿へとつながる養鹿の道を拓いた歴史を振り返りながら、今後の養鹿やシカの資源利用の展望や地域活性化へのシカ産業の活用などについて、広い視点から語っていただくようなことも考えております。本大会の詳細については随時、本ホームページで告知してまいります。

<備考>
1984年「21世紀は警告する―飢えか戦争か、都市の世紀末」(NHK出版)発行
1986年梅山豚を日本に導入
1989年「東和町―町おこし活動と養鹿」(スタック社)発行
1991年NHKメンバーズクラブ誌で記事「山鹿に息ずく人とシカとの共存」掲載
2007年「高松塚古墳葉、守れるか」(NHK出版)発行
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